2013/07/16

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている 感想

アニメ全話視聴後、原作7巻まで読んでの総評です。

ちなみにラノベ原作で、アニメ終わった後に原作まで読むのは、自分としては割りと珍しいというか、滅多にないことだったりします。
それくらい、これが気に入った、というか気になった作品だったということであります。

そんなわけで、どの辺が気に入って気になったか、ということを明らかにしつつ感想いってみたいと思います。

始まって1話のみでの印象としては、
また長ったらしいタイトルのラノベものかー、学園モノで、よくわからん部活で、ハーレムラブコメなんでしょ、ヒロインはクール系Sキャラって某作の某の亜流?
くらいの冷めた見かたしかしてませんでした。

唯一引っかかったのは、主人公の比企谷八幡が、ぼっちでやたらと皮肉屋だったという点。
その一点に妙に親近感を感じてなんとなく見続けた結果、最初の印象からイメージした作品とは、別物であることに、すぐ気づくことになる。

この作品、要は、スクールカーストがテーマになっているんだ、という事がわかってくると、その印象は180度代わってしまった。
そして、本当にいつまでたってもいわゆる「青春ラブコメ」にならない。
そもそも主人公の八幡は、中学時代の数々の痛々しい失敗から、強固な意志を持って、女子から話かけられたり、優しくされてもそれは、「勘違い」であり「期待してはいけない」と鉄のガードを敷いているのだから、ラブコメになりようがない。
そもそもラブコメ以前に友達がいない、ぼっちだ。
だからといって、友達を欲しているわけでもなく、ぼっちであることに引け目をや劣等感を持っているわけでもない、いや持っていたとしても己のプライドを守るために、屁理屈を弄して、自らを正当化してしまう。
そして何より面白いのは、この卑屈で諦念にまみれた主人公の八幡のダークヒーロー、アンチヒーローとも言えるヒールっぷりにある。

生徒のお悩み解決を請け負う奉仕部の活動にに半ば無理やり参加させられた八幡が、そこに持ち込まれる様々な問題を解決することになるのだが、その解決策が、正論、正道から外れたやり方で決して他人から誉められるようなやり方にならず、時として自分自身を傷つけ、自らがヒール役になることも厭わないのだ。
なに、やだかっこいい///

八幡の周りを固めるキャラも、スクールカースト上位にいながら、周りの空気を読んで合わせてしまう由比ヶ浜、成績優秀眉目秀麗であるがゆえにその性格から周囲から孤立してしまう雪ノ下、厨二病の材木座、スクールカースト最上位ので真のイケメン葉山など、それぞそれスクールカーストの違うものあるいは似て異なる者が入り乱れる。
おおよそ普通の学園ラブコメとは違う、それぞれのキャラの立ち位置、物の考え方、見え方の差異によって生まれるドラマ、関係性が面白い。
何より、主人公八幡のぼっちであるがゆえの卑屈さ、正論の隙を突く屁理屈、世間一般的には決して正しいとはいえないものの考え方が心地いい。
有り体に言ってしまえば、自分の中高時代に、世の中の欺瞞に満ちた正論に対する反発、嫌悪感など抱えていたどろどろしたものと、八幡が抱えているものがなんか似通っていて、共感してしまう所が多すぎて、困ってしまうのだ。

ラノベのしかもアニメ化作品でこういうものが出てきたことに、ちょっと驚きを感じたとともに、ジャンルの深化があってこそ世に出れた作品でもあるのかなあ、と思ったりして、以外な作品との出会いが出来てちょっと嬉しくなりました。

そんなかんじで、タイトルで避けてしまった人やなんとなくイメージで見なかった人がいたら再チャレンジしてみてはいかがかと思います。



それはさておき、もう一つこの作品を見ていて、個人的に気になったのが八幡と葉山の関係。

最初の段階で、クラスの中心、スクールカースト最上位である葉山から、最底辺の八幡は、存在しないに等しかった。たぶんテニスで対決した後でもほぼ認識されてなかったはず。
それが林間学校のボランティアの件と文化祭の件を通して、次第に八幡の存在を認知し、無視できない存在になっていく過程が面白かった。
葉山からすると、八幡の存在、考え方は異質であり、自分とは違う、自分にはないものを持っているのではないかと、気になって仕方がなく、理解したいという感情と同時に、相容れない肯定したくないという感情もあり、複雑な思いを抱いているのではないかと見える。
本来なら交わることのない、スクールカーストの最上位と最底辺、それこそ生存戦略、価値観の違う二人が出会い、交わり、さあ、ここから二人は対立し、反駁しあうのか?
といった所で、アニメは終わってしまう。
続きが気になるじゃないですか、やだー

そして、こうなると、腐った脳の一部が八幡×葉山のカップリング妄想を始めて止まらなくなる。
はちはやありだな、と。

そんなわけで気になって原作も読んでしまったわけだけど、アニメ版ではかなりさらっと流されていたが、葉山と雪ノ下の間には小学生時代、何らかの事件があり、葉山はそれを今も気にしている、
といったことが匂わされていて、やや複雑な様子。
あとアニメでは、いまひとつピンとこなかった、三浦を中心とした由比ヶ浜、腐女子の海老名さんの三人の女子グループがなぜああいう構成で、成り立っているのかとか、アニメ版では細部で抜け落ちてしまった部分が補完できたり、かなり端折られてしまっている材木座の活躍が読めたり、戸塚への八幡の思いがやばくて面白かったりと、原作読んで見てよかったと思います。
まあ、アニメの1話見て台詞の多さから、小説で呼んだほうが絶対面白いだろうなーとは思っていましたが。

というわけで、なんかめずらしくラノベ作品で当たりを引けてラッキーな感じ。
続きが楽しみです。




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