2012/04/27

ももへの手紙 感想

見てきたので感想です。

人狼の沖浦監督で、IGがかなり年月を費やした作品ということで
前評判で見ても、作画アニメになるだろうことは予想できてたし
作画について多くを語られる映画になるんだろうなあ、と思っていたので、
逆に、そこにはあまり重点を置かずに、物語やテーマを重視して作品を見て、感想を書こう。
そう思って映画を見てきました。

ところが、困ったことに映画を見終わったあと結局出てくる感想が、作画関連中心になってしまうという始末。
うーん。


この映画を見てて一番面白かった所は、やはりとぼけた妖怪3匹とそれに対するもものりアクション。
妖怪たちの悪さやちょっかいに、ももが芸人ばりの面白いポーズや表情で、オーバーなリアクションを取るのが、コミカルで見てて楽しかった。
楽しかったんだけれど、逆にそこに違和感を感じて乗りきれなかった、というのが正直な所。
それは、妖怪の登場まで、生々しいリアル作画で芝居していたキャラが、いきなりやや漫画的な非日常のオーバーリアクションをはじめることへの違和感だったんじゃないかと思う。
妖怪に対するのもものおもしろリアクションは、ただのコメディシーンとして理解すべきなのか、それとも、本来のももはこういうリアクションを日常的にする活発で面白い子なのか。
父親を失って、引っ越しもかさなり、気分が沈んでいるももの元に現れた妖怪たちは、そのももを本来の姿に解放する役目を担っているとするなら、オーバーリアクションするももこそ、本来のももといえるわけで、だとするとももって子は相当に芸人な子になってしまうのではないのか、というそんな混乱を感じていた。
要約していえば、物語のリアリティレベルと、キャラデザ、作画のリアリティレベルの間に、ズレを感じてしまっていたということなんだと思う。
そのためかなかなか物語に集中できなかった。

んで、物語の方なのだけれど、こちらはいたってシンプルで、普遍的なテーマを扱っているので、年齢に関係なく万人に受け入れられるものに仕上がっているし、泣かせ要素もあるので、悪くない。
悪くないのだけど、逆にシンプルすぎて言及するところがあまりない。
正直食い足りない。
特に地元の子たちとの交流において、地元の子達の側の描写が薄めで、あまり踏み込まないところが、物足りない。そこには妖怪たちも絡まない、というのも、え?どうして?と思ってしまった。


といったところで、なんか酷評になってしまった・・・
いや映画としての完成度は十分すぎるくらい高いですし。
劇場アニメだからこそ見れる高純度作画を見たいという欲求自体は、十二分に満たしてくれるわけですし。

でもそれだけでは、完全には満足できない性質なんですよね、仕方ない。



参考:『ももへの手紙』公式サイト
http://momo-letter.jp/

2012/04/04

戦姫絶唱シンフォギア 感想

最終話まで見たので、感想&総括です。

燃えた!
特に最終話は熱血バトルアクションモノとしては完璧なくらい王道。
この作品の重要な鍵である歌にのせての戦闘シーンは超燃えた。
これこれ、これなんだよ、子供の頃から自分が好きな「アニメ」って奴は。
俺はこういうのが見たいんだよ!
と、そう思わせてくれる最終回であり、作品でした、シンフォギアは。

ただもちろんシンフォギアという作品は、そこまで誉められた良作だったかというと、そういう訳でもない。

最初の1,2話は明らかに何かオカシイ展開や、状況、作画、演出の足並みの揃わなさから、突っ込みどころしかない様な出来で、ほとんどネタアニメとしか思えない代物だった。
しかし、作品からは分けのわからない熱量だけは感じる。
ネタとしか思えない展開の向こうに、作り手の本気度がほの見えてくる。

これが、原作者たる作曲家の上松範康氏の厨二全開で「自分の好きなものをとりあえず全部詰め込んでみました」結果で、本当に本気なんだというのがわかってくると、ネタとして笑いながらもだんだん楽しくなってきて、6話の響とクリスのバトルの頃には、もう完全にノリノリでこの作品を見ている自分がいる事に気づく。
シンフォギアに内包されているもののそれは、ほぼ70年代80年代のアニメや特撮のヒーロ物、熱血バトルアクションのノリやテーマそのまま。
それが上松氏の「好きなもの」で、多分全部自分も好きなものばっかりなんだ。
そりゃノリノリにもなるわな。

作品の出来自体は、正直言って粗っぽい、デタラメな所もある。
それでもこの作品は表面を取り繕った、ウケ狙いのお行儀のいい作品にはない、作り手の込めた熱がある。
そしてその熱は自分みたいな人間には届くのだ。

シンフォギアが特別好きというより、自分は「シンフォギアみたいなアニメ」が好きだし、そういう作品を今も昔も欲しいているのだ。




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といいつつBD買うかどうかちょっと躊躇している・・・
キャラソンは結局全部買ってしまったわけだが。
お気にいりは響の歌てる二曲、最初聞いた時のズコー感を超えるとどんどんクセになる、たまんない。

2012/04/02

10年という時代の変化の中での「あの夏で待ってる」と「おねがいシリーズ」


おねがいシリーズの黒田洋介と羽音たらく、「とらドラ」「あの花」の長井龍雪と田中将賀が手を組んだという時点で、自分的にはほぼ勝利確定の安牌作品で、出来も中身も予想や期待を裏切ることなく、とても満足でした。

最初から、おねがいシリーズの後継作品を匂わせつつ、要所要所で関連するネタも仕込んでいたので、ここでは感想というか、あえておねがいシリーズとの比較で「あの夏で待ってる」について語ってみようかと思います。

おねがいシリーズの二作、「おねがいティーチャー」と「おねがいツインズ」は、当時の美少女ゲーム、萌えアニメの隆盛の中でのアニメオリジナル企画としての、黒田洋介なりの答え的な意味を持つ作品だったのではないかと思います。
で、ティーチャーから10年の時を経て、作られた本作は、その後の時代の変化を受けたものになっていた、と言うよりは、よりおねがいシリーズが持っていた要素が純化した作品になったのではないかと思う。
おねがいシリーズは当時の萌えアニメ的な文脈で作られているために、お色気要素、サービスシーンが露骨とまでは言わないけれど多い。
それに比べると夏待は、その点に関して非常に抑制的に作られている印象がある。
加えて夏待は、作品の持つムード、ストーリーが、青春モノの方に大きく傾いいて、如何にも美少女!ハーレム!萌え!的なアクが抜けきっている。

これは監督の長井龍雪本人やその過去作からの流れも関連する事かもしれないが、もともと「美少女アニメ」という枠に黒田洋介が持ち込みたかった、「青春モノ」の要素を加えて作られたおねがいシリーズが、十年経って、夏待で「青春モノ」という要素だけで作品を成立させることができるようになった結果なのではないだろうか。
おそらく、黒田洋介的には、夏待と、おねがいシリーズ二作で、構成要素の多少の違いはあっても、やっていることはそう違わない。
だが、もし、十年前の時点で、この「あの夏で待ってる」がそのままで作られていたとしたら、多分地味すぎてだれも見向きもしない作品で終わっていたかもしれない。
そういう意味で「あの夏で待ってる」は美少女アニメの10年という時代の変化を感じることのできる作品でもあったかもしれない。



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