2012/05/29

虹色ほたる 感想



見終わった直後の印象は、「予想以上の作画アニメ」でした

キャラデザや予告編をみた限りでも、十分絵作りに関してはチャレンジングではあったので
その辺は、ある程度覚悟してたし、それ自体は肯定的なつもりで臨んで見に行ったはずなのですが、その予想を遥かにこえていたというか、ここまでやるかー、というほどに作画アニメでした。

おかげで、困ったことに「ももへの手紙」同様、作画が気になって、なかなかお話に集中出来ずに観終えてしまった。
輪郭線を太くし、関節をつなげなない独特のキャラでの絵作り自体は悪くないのだけれど、その描き方が、ロングやアップで統一感がなかったり、シーンやカットごとに絵柄の差が大きく出るので、主人公のユウタやさえちゃんですら、認識するのにちょっと戸惑う、さらに時間軸で違う年齢でも出てくるので軽く混乱するときも。
ということで、いくらなんでもチャレンジャー過ぎないのかなこれは、と思ってしまった。
せめて統一感があればなあ

お話の方は、タイムスリップ、昭和52年、ダムに沈む村、夏休み、ジュブナイル、とヨダレが出るくらい好物なシチュエーションが詰まっていて、充分俺得で、悪くはなかったのだけど、だからこそ普通のものを普通に見たかった、と思ってしまう。
ラストも自分的にはちょっとやり過ぎなくらい奇跡が起きすぎて、逆に萎えてしまった。
お別れのシーンから以降はもっとあっさりしててよかったんじゃないかなあーと。
うーん、結局不満の方が多いなあ。

以下良かった探しー(ネタバレ有り)

・美術は総じてよかった、昭和っぽさと、真夏の雰囲気がよく出ていた。
・さえちゃんが浴衣着せてもらってくるくる回るところから、花火を観に行く途中でのユウタとのやり取りのシーン、作画も芝居もこのあたりが一番好きかも。
・ケンゾウと女の子の淡い関係は良かった、リアルな小学生の男女間で。
・さえちゃんちのおばあちゃん。たぶんこの映画でいちばんきゅんと来たキャラ。
さえちゃんがおばあちゃんにお別れするシーンでおばあちゃんに抱きつくところでの、事情をしらないおばあちゃんを見ているともう、切なくて。
おばあちゃんの記憶からはいずれユウタもさえちゃんも消えて、またひとりきりになってしまう。でもおばあちゃんはそのことを覚えていないんだと思うともう、ね。
ユウタとのお別れの時に持たせてくれるお弁当におばあちゃんの優しさと暖かさが詰まってて、本当に泣きたくなる。


そんな感じで、ちょっと、予想からというか、自分が見たいと思っていたものからずれてたので、不満は多々あるのですが、要所要所で、いいとこもあったし、そこまで悪くはなかったかなと。

ただ、まあ、題材は一般ウケしそうなのに、よくぞここまでカルトな映画つくったなあ、と思ってしまうのでした。


参考:虹色ほたる公式
http://www.nijiirohotaru.com/



4434108719虹色ほたる―永遠の夏休み
川口 雅幸
アルファポリス 2007-07
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