高町なのはの真実 ~The MOVIE 2nd A'sに描かれないもの~ - くろうのだらオタ日記
自分は、なのはの動機が明瞭に描かれないことに、いくばくかの不満と、もどかしさを感じていたのだけれど、あえて描かれない事で、逆に、なのはという存在の「正義」あるいはヒーローとしての「神秘性」を担保しているという視点にはなるほど、と思った。
確かに「高町なのは」というキャラは、捉えづらい。何故そうまでして戦うのか、あんなに絶望的な戦いの中で心が折れないのか、不明瞭であるからこそ、そこに対する興味、関心が尽きないとも言えるし、なのはというキャラをなのはたらしめているとも言えるかもしない。
>なのはとフェイトの動機は、実はかなり明確だ。彼女達は、互いに認め合いたいがために、その存在の意味を、つまり正義を証明する場を強く望んでいた。
これはちょっと、自分が気づかなかった点で、読んでどきっとした。
闇の書事件の戦いにおいて。二人が互いを認め合うこととともに、なのは自身は、自分が手にした魔法、正義を行使する力の存在が、より確かなものであることを証明する場所を欲しいていて、それを得たのであり、フェイトは、フェイトで欠落した自らの存在が、周囲の人たちや、世界に必要とされるものであることを、証明したかったということだろうか。
こう解釈すると、無関係の事件になのはとフェイトが首を突っ込んでいく動機としては、確かにしっくりくる。
言動が子供離れしている二人だけれど、こういう自己顕示欲、純粋さとエゴの紙一重から発する「正義」という意味では、年相応の子供らしさではあるなあ、と。
ちなみになのはの動機に関しては、1stのコミック版で、かなり深いところが描かれてはいるのだけれど、この辺を踏まえて、映画第三弾で、高町なのはの物語をオリジナルエピソードで描いて欲しいなあ、というのが個人的な希望だったりします。
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秋水様 お初にお目にかかります。あっぷると申します。
返信削除今回こちらで高町なのはに関して拝読させていただきました。
同時にくろう氏の考察も拝見いたしました。
リリカルなのはの話題でよく引き合いに出される作品として「Fateシリーズ」がありますが、その主人公衛宮士郎と同様に、高町なのはというキャラはとても内面が複雑な存在だと個人的には認識しております。
一見さんお断り系キャラと申しましょうか。劇場版は限られた時間での一発勝負ですので、本当に何度もキャラ性を眺めかつ考えないと彼女の多面性に触れることはできないのではと思います。
言葉は悪いのですが、一見さんはお涙頂戴の設定を持ったキャラに目が移りやすいので、その点ではなのははちと分が悪い。加えて原作者は不思議と彼女の家族を描きたがらない。
かといって、3期のヴィヴィオのように安易な“泣かせる理由”を用意すれば彼女の特殊性が安っぽくなってしまう(ヴィヴィオというキャラには非はないとは思いますけどね。)
リリカルなのはという作品は2ndを機に締めくくるべきとも思いますが、もしもなのはの内面に触れる機会に恵まれることがあれば、作り手に誠実さが残っていることを願ってやみません。
最後になりますが、アニメ作品が濫造される現在、秋水さんやくろうさん、これまで知り合った方々のように、作品への愛情を持った考察文を拝見し、私もまた感謝と奮起の念を深く覚えております。
秋水さんのご健勝を陰ながら願っております。乱文乱筆にて失礼いたしました。